山梨大学工学部

卒業生・修了生

シン・梨大工学部

小林 駿

コバヤシ シュン

 山梨大学工学部の創立100周年、心よりお祝い申し上げます。
 お恥ずかしながら今回の企画で、工学部が100年という伝統と歴史ある学部であったと初めて気づかされました。先生方の在籍期間と比べれば短いものの、学部ではクリーンエネルギー特別教育プログラム(クリーン特プロ)に4年、修士から博士まではグリーンエネルギー変換工学特別教育プログラム(グリーン特プロ)に5年と、どこを見渡しても山に囲まれた工学部に計9年も所属していたことになります。100周年と比較すると私が工学部で過ごしたのはたった9%にすぎないのですが、もし私がモルモットなら工学部にいる間に寿命を迎えている年数です。この9年は学部生及び大学院生の両方で特別教育プログラムに所属していたこともあり、長きに渡る先生方の手厚い指導を受けて卒業できました。授業の成績が悪いと、プログラムの同級生全員で呼び出されたのも良い思い出です。
 武田通りの信号を渡った反対側には、華やかな教育学部があり、(工学部応用化学科もあるのですが、所属する研究室は工学部のさらに外れにある所に軟禁されていました。)当時はそちらでのキャンパスライフに富士山より高い憧れを抱いておりましたが、卒業した今になると工学部で過ごした日々は大変良い経験になったと感じております。特に大学院のグリーン特プロでの研究指導は凄まじく、先生たちには吉田のうどんかの如く、一生懸命研究指導としてこねられました。そのおかげもあり、小脇に財布を抱えながらランチ時の丸の内を闊歩するという山梨県民特有の東京進出の夢は叶わずに、現在はそれを横目に水素や脱炭素の研究者として生計を立てています。27歳という世間からはずいぶんと遅いデビューで新社会人となってしまってからは、ゆでられてコシのあるうどんほどはいかないまでも、ゆで上げられたほうれん草くらいにはシナシナと研究者として活動しています。
 現在はアカデミックな活動から一歩引いた所で研究者として働いておりますが、やはり近いところにいますので色々なお話も聞こえてきます。特に大学に関しては、交付金の削減や少子化に伴う学生の減少によって厳しい面もあるかと思います。私は生まれも山梨なのですが、卒業した市川高校は統合となり母校が一つ無くなってしまいました。その一方で、国際卓越研究大学のようにMITを彷彿とさせるような取り組みもあり、大学の在り方も時代と共に変化していくのかもしれません。山梨大学工学部の新たな取り組みとして、100周年には私が所属していたクリーンエネルギー特別教育プログラムと同様にエネルギー課題を解決できる人材を養成するクリーンエネルギー化学コースが開講したと聞きます。私自身が所属していた時は毎年たった5~6名程度の入学者しか取らないプログラムでしたが、さらに大規模にエネルギー問題に取り組む人材が増えるとの事で大変うれしく思います。私の場合は卒業しても研究内容が水素エネルギーから変わってませんので、やはり研究に関連した学会等に参加した際には同じ学科の懐かしいメンバー達にも会う事が多いです。学会がプチ同窓会のようになってしまう場合もあるのですが、今後も懐かしい皆さんと共に未来のクリーンエネルギーコース卒業生ともお会いするのを楽しみにしております。
 末筆ではございますが山梨大学工学部の益々のご発展をお祈り申し上げます。

2015年工学部クリーンエネルギー特別教育プログラム卒業、2017年大学院修士課程修了、2020年大学院博士課程修了