山梨大学工学部

卒業生・修了生

チリツモ人生宣言 ~ 100年に寄せて ~

岩﨑 庄太朗

イワサキ ショウタロウ

 超有名私大の大学生から進路相談を受けました。
どこの会社がいい?何社受けたらいい?ESはどう書いたらいい?などの質問がきます。
私はまず「あなたはどうすればいいと思う?」と聞きます。
すると「友達はこうしているからこうしたほうがいいと思ってる」と返ってきます。
「それでいいじゃない」と言いますが、そのあと「でも」から始まる取り留めない会話のあと憮然と帰っていきました。
この現象はこと学生に限った話ではありません。
いい年した大人も、仕事、結婚、趣味で同じようにぐるぐると悩んでます。

 私はまだ社会へ出てまだ8年目ですが、悩んで悩んで時間を費やしたのに何もしないという人たちをたくさん見てきました。
世間的にエリートと言われる人たちが、あらゆる社会項目の相対評価から生まれる格付けを自身の格付けと思いこみ一喜一憂しています。
私は常々、この文化を壊せば日本は著しく発展すると考えています。
相対評価ではなく絶対評価で自己の幸福を表現できる人が増えれば、のびのびと画期的なイノベーションが起こるんじゃないでしょうか?

 私はいま『日本をスタートアップしやすい国へ』をビジョンに掲げるスタートアップ企業にて起業家支援の仕事へ従事しています。
資金調達やら採用やらバックオフィスやら、ひとつの会社を上場まで成長させるのは無数の壁が存在しますが、その壁をどうやったらスムーズに突破できるかをサポートする仕事です。
そして自分達もスタートアップ企業として上場を経由した後、日本をスタートアップしやすい国へする義務を負っています。
私はこの仕事に誇りを持っており、何より刺激的です。

 二十歳の自分は「三十歳になれば大きな目標へ向かっているだろう」と思っていましたが、実際は「面白いと思うことを探して毎日やってる」状況です。
小さな楽しいを積み上げた先に大きな面白さがやってくると思っています。

 最近、三十歳の誕生日に家族を持ちました。
二十歳の頃に思ったこうだったらいいなという時間を着々と積んでいます。
チリも積もれば山となりますが、日本人の”チリ”とはなんだと思いますか?

 末筆ながら、山梨大学工学部の未来への発展を心から祈り、祝辞とさせていただきます。

2016年工学部先端材料理工学科卒業