イチムラ カズキ
この度は山梨大学工学部創立100周年、誠におめでとうございます!
卒業生の1人として誠に嬉しく思うと共に、心よりお祝い申し上げます。また、このような晴れやかな節目にメッセージ寄稿のお声がけをいただき、大変光栄に存じます。私が学部を卒業したのがちょうど10年前にあたりますので、100年という長い歴史の中では、まだまだかなりの若輩者ではございますが、若者なりの視点で一言ご挨拶申し上げます。
【 大学時代からの時代の変化 】
私が大学・大学院時代を過ごしたのは、2010年からの6年間で、AKB48やドラマの初代「半沢直樹」が大流行したり、スカイツリーが開業したりしたような時代でした。また、入学直後にはまだ多くの同級生が使っていた「ガラケー」が、在学中にどんどん淘汰され、「スマホ」へ転換していった過渡期の時代でもありました。懐かしいです。
スマホの普及もそうですが、当時を思い返すと、やはり10年先を見据えるというのは本当に難しいことだと、つくづく実感します。まさかこの10年でここまで在宅勤務が普及するとは思っていなかったですし、メルカリに代表されるようなCtoCの取引やブロックチェーンを使った暗号資産取引、ChatGPTのようなAIツールの個人活用も、本当に急速に広がっていますよね。工学部出身の身としては、非常にワクワクする技術・ツールの進化ばかりです。
一方で、当然それに伴って世の中の需要も大きく変化しています。私は現在、新卒で入社した某電機メーカーで事業企画に携わっていますが、新事業の企画にあたっては、目まぐるしく変わる世の中に頭を抱える日々です…。企業はもちろん、比較的長期を見据えた工学部の研究においても、分野によっては10年後に世間の状況が変わり、その技術が必要なくなっているという可能性もあるのではないでしょうか?時間のかかる研究においても、常に高くアンテナを張り、広く最新の情報を収集しつつ、柔軟に対応していくことが求められていると感じます。
ここ10年強で私が特に感じた変化は、以前にも増して「個人」が活躍しやすい環境になってきていることだと思います。YouTubeやInstagramなどのSNSはもちろん、メルカリやDeFiなど、個人が直接情報を発信したり、取引したりすることが当たり前になっていますし、それに伴いYouTuberなどのインフルエンサーに代表されるような新たな職業も出てきたと思います。
【 大学時代は広く挑戦できるチャンス 】
個人で活躍できる場が整っているということで、私自身仕事以外でもいろいろと挑戦してみたいことがありますが、日々仕事や家事に追われ、なかなか新しいことに手を出す時間が取れないでいると、やはり大学時代の自由時間は貴重だったと思います。大学時代は、なぜこんなにも各学期の間の休みが長いのか…と思いつつ、大部分の時間をアルバイトなどに費やしていましたが、今思えばもう少しいろいろなことに挑戦しておくべきだったかもしれません。
そこまで余裕資金はないと思いますが、生活の心配をせずに空いた時間の多くを自由に活用できる学生さんは比較的多いのではないかと思います。社会に出れば、仕事や生活が軸となり、何かをするには土日や隙間時間を見つけるしかなくなります。なかなか仕事を辞めて1から新しいことに挑戦となるとリスクが伴い、腰が重くなります…。
資格の勉強をするのも良いと思いますし、友人と海外旅行に行くのも、恋人を見つけるのも、YouTubeで配信を始めるのも良いと思います。まとまった時間をかけられ、失敗もたくさんできる大学生の皆さんには、ぜひ色々なことに興味を持って取り組み、自分の強みを見つけ、将来へ繋げていっていただければと思います。(なかなか大学時代にそれが気づけないのですが…。)
また、大学側としても、単純な知識の教育だけでなく、より思考力や個性を伸ばす機会を増やす取り組みが求められるようにも感じます。その観点で、専門の先生方から工学部の範疇を超えた分野についても学べる一般教養は、山梨大学の特長の1つだと思います。
【 この先の100年…】
先日、久しぶりに甲府キャンパスを訪ねさせていただきましたが、在学中とあまり変わらぬ建物に懐かしさを感じました。一方で、100周年記念事業の一環として、記念ホール等の設置が計画され、学科の編成も令和6年度から新たな体制に生まれ変わると伺っています。デジタルほどのスピードではないにしても、現実のモノや街並み、私たちを取り巻く研究や教育・住環境も、今後どんどん変化していくことと存じます。
この先の100年…、楽しみですね♪
10年後が予想できない中、100年後はもっと予想できませんが、今後も山梨大学工学部が希望溢れる未来を創造する一端となり、在校生・卒業生1人1人とともに、更なる発展を遂げることを心よりお祈りし、私の寄せる言葉といたします。
私も卒業生の一員として精進して参ります!
改めまして、創立100周年、誠におめでとうございます!!
2014年工学部機械システム工学科卒業、2016年大学院修士課程修了